インコの日記

さえずり、ドラミングなど

沢登りは最後までやる必要はない/ボケ老人の歌う曲

<<今回は二本立てです>>

 

沢登りは最後までやる必要はない

 

沢登り、という登山を知っているだろうか。通常の登山が尾根線を辿って頂上を目指すのに対し、谷筋に沿って登るのが沢登り。文字通り沢をじゃぶじゃぶ進み、進路上に滝があればクライミングで突破する、かなりアドベンチャー性のある登山だ。

盆を過ぎたとはいえ夏真っ盛りのこの時期には水と戯れながら楽しめる沢登りは最高で、初めて沢登りをした時から4年間毎年続けている。

 

さて、今回行ったのは神奈川県の葛葉沢。途中のポイントまでだが毎年登っている沢で、初心者向けで有名な場所だ。同行者は自分の一つ上の探検部の先輩。低難易度且つ信頼のおける仲間もいることもあって、楽な山行になる、、、はずだった。

 

10:40 遡行開始(遅い)

登り始めてすぐに例年より水が多いことに気が付く。丹沢近辺で大雨でも降ったのだろうか。水量があると、水をかぶった際の水圧がきつくなったり岩が濡れてフリクションが効かなくせいで通常時よりクライミングの難易度が上がる。

多少の増水であれば問題ないだろうと思い、遡行を継続。

 

11:40 大平橋通過

通常であればこのポイントで脱渓し、一般の登山道経由で下山する。

しかし今回は想像より速いペースで登ったせいで二人とも物足りなさを感じていたため、もう少し上ったところにある富士型の滝と呼ばれる地点まで行くこととなった。

ここより上流部は未経験だがペース的には余裕はあるし心強い同行者もいるので問題ないと思い遡行を継続。大平橋で引き返す予定の食糧・水しかもっていないが多分大丈夫だろう。

 

11:50頃 雨に打たれる

大平橋を通過したあたりから雲行きが怪しかったが、天気が急変し雷+雨が降り始めた。

鉄砲水に巻き込まれたらたまったものではないのでペースアップ。

 

12:30頃 富士型の滝

ようやく目標地点に到達。葛葉沢イチの名所というだけあって絶景だ。10mはある高さとハの字の形からそう名付けられたのであろう。

とはいえ、これを見るためだけに登るほどの価値は薄かった。そこそこの難度の滝とザレて悪くなった足場を1時間近く登ってまで見たいものではない。第一、大平橋までの帰還可能ポイントはとっくに過ぎてしまっているのでここまで来たら後は山頂まで登るしかない。

飯も水も尽き欠けていたのでこの時点で疲労困憊である。

ここからさらに300m登るんですか???

富士型の滝 全景

 

 

13:10頃 水カレ+詰め開始

標高1000m付近でついに沢の水がなくなり、岩と砂利だらけの水カレと呼ばれるエリアになった。ここまでくると足場もだいぶザラザラしたものになり、足場となる大きな岩が少なくなって遡行には適さない。そのため谷筋から離れ尾根線まで道なき道をよじ登る通称「詰め」を開始した。

これまでの遡行も相当だが、崖一歩手前ぐらいの急斜面を木の根っこを頼りに這い上がるのはもっと辛い。藪をかき分けながら登るのでヒル、アブ、やぶ蚊には食われるし、草の棘もブスブス刺さる。

詰めで登ったのは100~150mほどだとは思うが、今までの楽しさが帳消しになるレベルで悲惨な目にあった。

 

13:40頃 登山道に出る

急斜面+藪と格闘すること30分、ついに一般登山道に出た。ご丁寧に階段まで敷設されており、さっきまでの足元とは大違いだ。整備している諸団体には感謝しかない。

登山道に出てすぐのところに「この先は危険です。登山道ではありません。」と書かれた看板を発見。自分たちは危険と呼ばれたところから生還したというのに酷い言われようだ。

14:10 三ノ塔頂上

到着。。。とうちゃく?

降雨+雲海のせいで頂上からの展望はゼロ。もともとここまで登る予定がなかったといえ、悲惨な思いをしたのだから一つぐらいご褒美があってもよいものだが、山の神は無慈悲だ。しかも雷がゴロゴロなっている。

20分程度の休憩の間に食料補給と写真数枚を撮って、すぐ下山を開始した。

14:30~ 下山

登りに4時間かけた高さを半分の2時間で駆け下りた。登り降りの差、道の整備度に違いはあるにしても異常なペースだったのは一刻も早く帰りたかったからだろう。

精神的にもだいぶ余裕が出てきたので他愛もない話をしながら下山。

お互いにインターネットのオタクなのでずっとアニメの話をしていたのだが、ふとひだまりスケッチのOPが話題になった。どんな内容だったか数分かけて思い出したが、二人とも「胴上げされしエグゾディア」以外曲も歌詞も覚えていない、という最悪の事実が確認された。

 

16:30 下山。そして、、、

無事帰還。コースタイム6時間。きつすぎる。

山行中に口にしたのはプロテインバーとおにぎり一つだけだったので、風呂も入らずに汗まみれの穢宮臭仁(けがれのみや・くさひと)のまま近くのしゃぶしゃぶ食べ放題に直行。沢登りは最後までやる必要は全くないと思いながら、ペラペラの肉を口に放り込んだ。

山行記録
CT6h+α

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ボケ老人の歌う曲

認知症の祖父が入っているグループホームから一通の手紙が来た。

中身は祖父の体調や施設への支払いに関するありきたりなもので、欄外には「元気な時は若いころに聞いていたベートーヴェンのことを楽しそうに話し、ごくたまに第九を歌おうとします。」と書いてあった。

実家を空襲で焼きだされた祖父が戦後間もないころに横浜の名曲喫茶で住み込みで働いていた、という話は聞いたことがあったが、そんなにベートーヴェンが好きだったのか。

 

手紙を読み終えた後にふと、自分がボケたときは何を語り、歌うのだろうと疑問がわいた。そしてすぐに疑問は嫌悪へと変わった。ボーカロイドしか聞いてこなかったからだ。

考えてみてほしい。時代のメインストリームを一切知らず、「人生リセットボタン」や「脳漿炸裂ガール」を嬉々として語る老人がいたら、どれほどウザく、面倒だろうか。

中二病真っ盛りのヤングティーンが歌うから微笑ましいのであって、よぼよぼの爺が震える声で「月の向こうまでイッちゃって」など口ずさむ光景は吐き気すら催す。

そんな醜態を自らが晒すかもしれないと思うと、来る老後がより一層現実味を持って恐ろしくなった。

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