インコの日記

さえずり、ドラミングなど

傘はさしたほうがいい

雨が降ったら傘をさす。簡単なことだが自分にはできない。

 

天気予報を確認してあらかじめ持っていくとか、予備を会社においておくとか、そういったことをしない人間なので、いざ雨が降った時に手元に傘がないことが大半だ。折り畳み傘を持っていた時期があったが、使った後に畳むのが面倒で持ち歩くのをやめた。

そもそも傘自体が嫌いだ。持ってるだけで疲れるし、人とすれ違う時にいちいち傾ける必要があるのが面倒くさい。職場~駅までは歩いて10分ほどだがその大半はコンコースなので濡れるのはせいぜい5分。それぐらいなら大概は我慢できる範囲なので今まで困ったことはなかった。

 

しかし、今夜の雨は本当に酷かった。バケツをひっくり返したよう、とはよく言ったもので、雨音が「ザーザー」ではなく「バシャバシャ」になるほど激しく降っていた。

自分でも流石に今夜ばかりは傘をさしたほうがいいとは思った。しかし朝に傘を持ってきていないし、置き傘もない。誰かのビニール傘をこっそり拝借しようとも思ったが、もしそれが社内の知っている人の傘で、無断借用がばれてしまった場合のリスクを考えると実行できなかった。そのため傘なしで帰ることにした。

 

案の定全身はずぶ濡れになった。靴下まで浸水したせいで本当に寒くて、不快で、最悪だった。しかしそれ以上に周囲から冷ややかな視線を向けられたことが堪えた。濡れることは覚悟していたのでまだ我慢できたが、すれ違う人から憐れみと軽蔑の混じった視線で見られるのは想定していなかった。雨に打たれたのはほんの数分であったが、それの数倍の時間周囲からの視線にさらされたことで、恥ずかしさと惨めさで気が狂いそうだった。

死ぬほどの思いをして帰宅したのちに、やはり傘はさしたほうがよかったと心から思った。